2017年10月13日

エスプレッソの豆にルールはなし。




最近は自宅でエスプレッソを楽しむ方が増えています。




デロンギとかボンマックとかの

家庭用エスプレッソマシンも売れ行き好調のようです。





エスプレッソと言えば、よく聞かれるのが

「エスプレッソ用の豆はどれですか?」





実はエスプレッソはどんな豆でも使えるんです。





エスプレッソ = 深煎りの豆

というのはイタリアの伝統的なスタイルで

日本人はバブルの頃に初めてテレビで紹介された

イタリアンエスプレッソの大流行で

エスプレッソ = 超苦い、超濃い

というイメージになっております。




スタバもアレンジに向いている深煎り豆を使います。





そんな感じで、エスプレッソのイメージが出来上がってゆきました。





ところが世界で一番コーヒーを飲む国でもある

スウェーデンなどの北欧やオーストラリアでは

焦がした深煎りでエスプレッソは淹れません。




中煎りや中深煎りで淹れたエスプレッソは

濃密な液体ではありながら、

フルーツ感のある甘味と良質な酸があります。




お砂糖なしで、美味しく飲めます。




ちなみに、エスプレッソにお砂糖を入れるのも

イタリアスタイルでロブスタ種たっぷりの味を

そのまま飲めるわけもなく、しょうがなく入れているのです。




上質なアラビカ種を使うスタイルでは

お砂糖をいれないで楽しむのが定番です。

(もちろん、入れてもおいしい)





さて、とはいえエスプレッソという抽出方法には

いくつか特徴があって、それを知っておくと便利です。




【特徴その1】酸味が強く出る特徴がある。


豆を細かく挽き、20秒〜30秒という超短時間で淹れるため

酸が出やすい為、中煎りなどの焙煎では気を付けなければならない。




焙煎の浅い豆をエスプレッソにする場合、

抽出に失敗することがあります。



酸っぱいと感じたら失敗です。



粉のメッシュ調整、粉の量、タンピングの強さを

程よく調整すると、酸がまろやかになり丸みを帯びます。



すると甘みを感じるはずです。



うまく抽出できるとフルーツジャムのような印象で

非常に甘く余韻のあるエスプレッソになります。




【特徴その2】乳化が決めてとなる



エスプレッソといえば、濃厚でドロドロした液体と思われがちですが、

おいしいエスプレッソでは濃度にとらわれません。






サラサラしたエスプレッソもあり、

トロトロしたエスプレッソもあります。







どちらも、豆の風味(フレーバー)を活かす抽出であれば

それが正解です。




ただし、どんな場合でも必ず「乳化」していなければ

おいしいエスプレッソにはなりません。





乳化とは、

コーヒーオイルとお湯が一体になることで、

エスプレッソに十分なコーヒー成分が入っていることです。



サラサラ系のエスプレッソでも

ただシャバシャバとお湯が流れたような

エスプレッソでは水っぽくてまずい。




しっかりと成分が乳化しつつサラサラなら、

花開いたようなフレーバーと素晴らしい余韻を感じます。





最近では、色んなお店やバリスタのエスプレッソを飲む機会があって、

その都度、新しい学びと発見と体験があります。



おいしいエスプレッソって何かを知りたければ

たくさんのエスプレッソを飲むしかないのです。





エスプレッソとは、

抽出方法のひとつに過ぎません。





ドリップコーヒーの味にいろいろあるように、

エスプレッソの味にいろいろあって当然なのです。




先日の東京のコーヒーイベントでも

信じられないような、

おいしいエスプレッソを飲みました。




フルーツの果汁を濃厚に絞ってシロップを入れたような

ものすごい甘味とフレーバーと余韻がありました。




もちろん、そんなエスプレッソは稀で、

どこでも飲めるようなものではありません。





ミルクを使ったラテにする場合でも、

おいしいラテを作るなら、

おいしいエスプレッソが必須になります。




深煎りで作る、いつものラテもいいですが、

違う焙煎度合いで作ってみるのも面白いです。



むしろ、甘味と果実感がある方が

ワタクシは美味しいと思います。





ただ、エスプレッソを難しく考える必要はありません。



いくつかのコツはありますが、

慣れてしまうと簡単な抽出です。





ぜひ、皆様も楽しんでください!


























posted by 大地の実 at 18:29| 珈琲豆のこと

2017年10月11日

収獲の秋と、暮らしの食と。




今年の稲刈りが終わりました!




無事に籾摺りも終わって、

新米を食べることが出来ましたよ。



今年は新品種「恋の予感」という

ちょっといい感じの名前の苗に変わりました。

(昨年までは、ひのひかり)




この「恋の予感」は暑さ耐性のある品種で

昨今の猛暑での不作を未然に防ぐための新品種。



元々は「中国201号」という、

なんとも味気ない名前だったのを、

農協さんが市民公募して決まったのが

「恋の予感」だそうです。





味は、普通においしいです。




今年は2度目の稲作でした。



まだ要領が掴めずに試行錯誤感がありましたが、

稲が成長するにつれて起こることに理解ができ、

なるほど、そういうことか。と思うことが多くありました。




4月の田起こしと施肥。

5月の水入れと代掻き。

そして、田植え。

そこからは、水の管理。


稲作は、「苗の質と水の管理」と言われるほど、

水の管理が大切になります。



我が家は、棚田なので、

水路も複雑に入り組みます。



イノシシが水路を埋めたこともあれば、

急な大雨が降ってきたこともあります。



そして、稲が伸びてきたころに、

鹿による被害がありました。

(柔らかい葉っぱを食べちゃう)





雑草との無限の戦いは

何度となく悲鳴を上げました。




今年の稲刈りを終えて思ったことは、

やっぱり農業は面白い!




いろんな反省がありました。


来年はこうやろう、ああやろう。


そんな事を、もう考えています。
(主に、土作りについて)





そして、息子や甥っ子たちと一緒に

ワイワイと楽しみながらできるのも醍醐味。






いつもの食卓の普通のご飯が、

ちょっと大切なご飯に変わります。




いつもの食卓が、少し豊かになる気がします。



できたら野菜や大豆や小麦もやってみたいと思っています。

あと、もち米も。





いつか、お客様とシェアできるような

仕組みを作りたいとも考えています。




食は暮らしを豊かにします。

体を育て、心を育てます。




今、世界中で注目されている

「参加型エディブルガーデン」という

みんながハッピーになれる農業が

できればと夢見ております。



























posted by 大地の実 at 18:10| ブログ

2017年10月02日

固い豆、柔らかい豆。





コーヒーの焙煎をやっておりますと、

生豆の固さの違いが焙煎プロセスに影響することがあります。




生豆の固さは、「密度」と同じと考えて頂くと分かりやすく、

固い生豆は密度が高く、柔らかい豆は密度が低いのです。




この生豆の密度に影響する原因の一つは

農園の「標高の高さ」にあります。



標高が高いと固く(高密度)なり、

標高が低いと柔らかく(低密度)になるのです。



これは同じ品種でも同じです。



そして、標高が高いと高密度になる理由は、

気温の寒暖差が大きくなることにあります。




ワタクシも産地へ行った時に驚いたのは

赤道付近の農園では、常に昼は30℃以上で

朝晩は、なんと10℃〜15℃に冷え込みます。



毛布なしでは眠れません!!



よく考えたら、2000mクラスの標高にある農園は

鳥取の大山(1900m)より高い場所にあって、

グアテマラやコロンビアでは3000mクラスの農園もあります。




毎日、毎日、この20℃近い気温差が発生する

標高の高い特別なコーヒー農園では

コーヒーチェリーがある”行動”を起こします。



一気に冷える気温を感じ、

命の危機ととらえて”糖分”を蓄えます。



そして成長スピードが遅くなり

”固く引き締まる”(高密度化)という現象を起こします。




ちなみに、お米や野菜やフルーツでも

同じような現象が起こります。



そして、標高が低くて寒暖差の少ない土地では

コーヒーチェリーの成長は早く(低密度化)

糖分も貯めこみません。





もう、お分かりだと思いますが、

コーヒーの生豆は固いほど良い豆で

柔らかいほど低級品となるのです。




そして、糖分を豊富に含んだコーヒーには

素晴らしい甘味が生まれると同時に、

糖分をエネルギーとして発生する

成長クエン酸サイクルによって

クエン酸やリンゴ酸を豊富に蓄えて行きます。



そうです、

標高が高い農園で育った

高密度で良質なコーヒーには、

”甘味と良質な酸味”が豊富にあるのです。





さらに高密度な生豆は

様々なミネラル分を吸収してゆき

その土地のテロワールと相まって

「素晴らしいフレーバー」を生成します。






これが、決定的な品質の差となり、

コーヒーのおいしさを作る大きな要素となります。




あとは、施肥、選定、選別、処理、乾燥、などで

液体の透明感や、質感、余韻などを構成してゆきます。



トータルで、おいしいコーヒーになるには

たくさんの要素が必要なのですが、

ザックリいくと固い豆と柔らかい豆の差があります。






コーヒーの焙煎をする上で「固い豆」は焙煎が難しいです。



水分の抜け方、火の入り方、膨らみ方、香りの出かた。


全ての工程が難しいです。



高品質なコーヒーは押しなべて「固い」ので、

浅煎りから中煎りの焙煎で失敗しやすく、

生焼けによる、渋みや、スッパ味が出たり、

火力がキツイため表面焼けした、穀物臭や

後味のザラツキが出ることがあります。





高品質な生豆を、適切においしくローストするためには、

適切な排気バランスにおいて、

程良い強めの火力での水分抜きと

ハイパワーでのロースティング(本焙煎工程)と

蓄熱や余熱を利用した柔らかい熱でのデベロップメント(味作り工程)

が必要になって、実は生豆ごとに少しづつ違うアプローチになります。





しっかりフレーバーを出して、

良質な酸味と甘みをバランス良く残す。





これが理想の焙煎です。





自慢じゃございませんが、

ワタクシも散々失敗してきました。




丁寧に育てられた最高級の豆を、

未熟な焙煎で台無しにしてきました。



眠れない夜もありました。

食事ものどに通らない日もありました。




でも、あきらめませんでした。




焙煎やカッピングを学べる機会があれば

借金してでも行っております。



そうやって、

すこしづつ、理想の焙煎に近づいてゆきます。





ある人が言いました。

「上手に焙煎出来た時って、コーヒーが花開くよね。」




そうなんです、

固い豆ほど、その個性をなかなか発揮せず閉じこもりがちですが、

花開いた時の、たとえようもないフレーバーや明るい果実感は

ようやくエベレストに登頂したような、

ようやく9秒台を出したような、

ようやく10s減量したような、

そんな達成感をもたらしてくれます。






ワタクシの焼くコーヒーたちも

以前よりは花開いてくれております。



そんな時は、やはり焙煎士冥利につきます。





なかなか振り向いてくれなかったあの子が

やっと微笑んでくれたような気持ち。





ぜひ今後とも見守ってくださいませ。




posted by 大地の実 at 18:31| 珈琲豆のこと