2013年12月05日

コーヒー発祥の地ジンマ地区 〜豆記世界編・2〜





その森は、小さな黄色く咲く花畑の丘を越えた所に

静かに佇むようにありました。




いつの頃から在るのか誰も知りません。





首都アジスアベバから車で7時間のドライブ中には

見飽きる事のない”人間本来の姿”というべきアフリカの

光景を見ていきなりカルチャーショックを受けてすっかり

虜になった僕は、その森に入った時、少しひんやりした空気と

多少の手入れの為に下草を刈った草の匂いに、昔遊んだことのある

地元の山の中を思い出して不思議と懐かしい感覚を覚えました。










コーヒー発祥の地エチオピアの中でジンマ地区は

とりわけコーヒーの起源とされている地です。

ジンマ地区は昔、「カッファ」と呼ばれていて

コーヒー(カフェ)の呼び名の起源にもなっています。









ジンマ地区のコーヒーはエチオピアではメジャーではありません。





イルガチェフェ、シダモ、ハラ―など有名な産地がありますが

僕たちが片道7時間かけて訪問した理由は、

ジンマにはフォレストコーヒー(森林コーヒー)といわれる

原生林の中に自然に生えるコーヒーが残っているからです。




フォレストコーヒーはエチオピア国内からも減っています。





環境破壊という理由で。





現在、日本のJICAが協力してこのフォレストコーヒーの

環境を残す活動をしています。




でも、あまり成果が上がらないのが現実です。



もしかしたら10年後には無くなっているかもしれない

フォレストコーヒーを見る事ができるのは最後のチャンス

だったのかもしれません。







車を降りるとアフリカの日差しが容赦なく照りつける午後でした。

そこから歩いて、歩いて、丘を越え、丘を越えて。





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ようやく辿り着いたのは程よく手入れされた里山のような印象の森に

入って行くと大きな木々の下に、小さなコーヒーの木がそこらじゅうに

生えておりました。




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森の木々たちがシェードツリーの役割を果たして

強烈な日差しからコーヒーの木を守っています。






その森に僕たちが入ってくとまだ完熟には早いけど

コーヒーの実を付けた、原種のコーヒーが待ってくれていました。





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これがコーヒーの原種。


これがコーヒーの起源。


これが。


これがルーツ・オブ・コーヒー。


誰もが、言葉を失ったように見つめ続けました。





伝説によればエチオピアのカルディが家畜のヤギが

森の中の、小さな木の赤い実を食べると興奮して元気になった

のを発見してイスラム教のモスクへ報告したのが初めだそうです。




時を経て、ここから世界にコーヒーは広がり、

人々を魅了しながら、数奇な運命を経て

日本に伝わり、僕たちの愛すべき存在になっています。





とはいえこの森は、収穫しやすいように程よく

下草などが刈り取ってあり人が歩きやすい環境にしてあります。




僕たちは慎重に赤いチェリーを選びながら

生まれて初めてコーヒーの収穫を体験しました。





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そのうち近くの農家の子供たちが集まってきて

収穫を手伝ってくれて、一緒になってのピッキング。





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大人も子供も、

日本人もエチオピアンも。




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こんなに採れました!!




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収穫を楽しんだ後は、

歩いてきた丘をひたすら戻り、

今度は近くのジンマ・サバカ農協へ。



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サバカ農協は”農協”といえども

日本の農協とは違っていて、小さな農家が

集まって収穫したコーヒーチェリーを水洗したり

乾燥したりする場所(ウエットミル)の事です。




到着してすぐにエチオピア名物の

コーヒーセレモニーでお出迎えしてもらい、

ちょうど収穫時期のチェリーを乾燥している所へ。




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チェリーのままを乾燥させて干しブドウのようにしてから

豆を取り出すスタイルを「ナチュラル(アン・ウォッシュド)」と呼び、

果肉のままカラカラになるまで乾かします。





また、それとは別に。





このような脱穀機でチェリーの果肉を取って水洗し

乾燥させるのを「ウォッシュド」と呼びます。




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果肉を取り除いても”パーチメント”とよばれる殻に包まれていて

お米でいう「モミ」の状態で乾燥させて行きます。



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パーチメントコーヒーをこのドライベット(アフリカンベット)

の上に広げて3〜4週間かけて水分を15%程度まで減らします。


乾燥中に雨が降ってきたら、村のみんなでカバーをかけるそうで

雨が多いと出荷が遅れるのが欠点なのだそうです。





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選別作業は村の女性たちが担当。

丁寧に欠点豆を取り除きますが、実はここで

オーダーの仕方で欠点豆の割合が決まります。




例えば欠点豆を完全に取り除くようにオーダーすると

女性の数を増やし、一度に広げる量を減らし時間を掛けて

選別する方法です。

このオーダーはスペシャルティーコーヒーでは普通にされる

やり方で欠点豆の混入は殆ど無くなります。



なのでスペシャルティー業界ではこの工程はかなり

重要視されていて栽培に次ぐ重要なポイントになります。




日本のコーヒー屋で欠点豆の多さに悩んでいる所は

安いオーダーで注文された低級品を買っている可能性が高く

そのクレームは商社に言っても直りません。



生産地へのオーダーは直接訪問して伝えるか無く、

現地の中間業者に改善を期待するのは無理です。





この2日後に訪問するイルガチェフェでは

このウエットミルでのスペシャルオーダーが

非常に重要なポイントになってきますのでお楽しみに。







さて、パーチメントを乾燥させて選別したら

倉庫に一旦保管して、豆を少し休ませてから

脱穀(お米でいうモミ擦り)のドライミルに出荷します。




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コーヒー発祥の地でコーヒーが出来る過程を

生で見れるなんて本当に贅沢な時間でした。





その後、休憩していると

ここサバカ農協は、もう一つの顔を持っていて、

実は「はちみつ」も作っているのです。



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はちみつと自家製パンを一緒に頂きましたが、これが絶品!!



採れたてのハチミツなのでものすごいコクです。



エチオピアはハチミツが有名らしく

コーヒー農園と兼業で養蜂する所も多いのだそうです。





コーヒーとハチミツを堪能した我々は意気揚々と

ジンマ近くの街のホテルへチャックイン。



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ところが、そのホテルが言葉では伝えられないほど、ひどいホテルで

一気にテンションが下がり、その日、3人目の食あたりが発生するほど。



お湯出ない、電気付かない、ベット汚い。

の3拍子揃った、かなり過酷な環境で睡眠もそれほど取れない中、

なんとか迎えた次の日の朝に事件は起きました。







朝のミーティングでジェトロスタッフから

我々に”衝撃的な情報”が入り全員に緊張が走りました。




それを聞いた時、

「この先一体どうなるのか」

「旅を続ける事は出来るのか」




この時、全員がそう思ったに違いありませんでした。






つづく










posted by 大地の実 at 15:49| 豆記世界編2013DEC