2013年12月09日

ジェノサイドから先の世界へ。〜豆記世界編・5〜






”千の丘の国”と呼ばれ、昔から美しい国として

知られているルワンダ。




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しかし、この国には、乗り越えなければならない

大きな課題が”2つ”あります。




ひとつは  「ジェノサイドの後遺症」



ふたつ目は  「ポテトフレーバー」






この2つの事を乗り越えなければルワンダに未来はありません。







「昔、僕の家族は7人いたけど、上の兄と僕だけが

 教会に逃げて助かった。父も母も姉や兄や弟も

 みんな殺されてしまいました。あの時、僕は5歳でした。」

 



25歳の若いドライバーが言いました。







ルワンダ・ジェノサイド・ミュージアムからの帰り道、

沈黙し続ける僕たち日本人に、タブーとされている

ジェノサイド当時の話をゆっくりと語ってくれた彼は

今、この仕事はアルバイトで、英語を必死に勉強している。

もっと勉強して、いつか留学して、大好きなルワンダの為に

一生懸命働きたい。と言っていました。








ルワンダ・ジェノサイドについて

*過激な表現もありますのでご注意を。






たった100日間で80万人が殺されたこの事件を

決して忘れないようにと、ルワンダ国内に10か所の

ジェノサイド・ミュージアムがあります。









虐殺を記録したミュージアムといっても、

広島にも原爆資料館もあるしなぁ。

という感じで訪れたのですが、



ルワンダは”覚悟”が違いました。





日本のようにオブラートで包むような優しい伝え方ではなく、

たかだか20年前の事なので”鮮明な映像”で伝えているのです。

CNNの取材クルーが撮ったこの世の地獄。





人が人を殺す映像がリアルに伝えられています。



大きなナタを振り回す人に追われ、殺される人たち。

小さな赤ん坊は壁に叩きつけられて殺されます。

女性は最も酷い仕打ちを受けて殺されます。




あまりにも壮絶なのでこれ以上は言葉にはしません。




それは日本では絶対にありえない伝え方でした。





きっと全てのルワンダ国民がそれを見たくないでしょう。

もう忘れてしまいたいと思うときもあるでしょう。



しかし、その記録は鮮明に、残っていました。



ルワンダの覚悟。



ミュージアムの石碑には


「決して忘れない。繰り返さない。

 我らは同じ国民で、友人なのだから。」





僕たちはなぜ、空港からすぐにココに連れて来られたのか

分かったような気がしました。







ルワンダの事を知るなら

ジェノサイドを知らなければならず、



ルワンダと今後付き合って行くなら

ジェノサイドの後遺症を乗り越えようとしている

彼らの事を理解しなければなりません。







千の丘の国ルワンダは、本当に美しい国なのです。








20年たった今、想像もつかないくらい街は綺麗で発展しています。

それでもそこに暮らす人々は、未だ癒えぬ後遺症に苦しみながらも

少しづつ前に前に進もうと努力しています。





ミュージアムから帰ってすぐに現地の生産者や

輸出業者とのミーティング。




さっきミュージアムに行って来たよ。と言うと

必ずみんな「ありがとう、見てくれて」と答えます。





それ以上は僕たち日本人は何も言えないので

「我々のコーヒー取引の発展」について一生懸命に

本当に真剣に語り合いました。






現在、ルワンダコーヒーの日本国内のシェアは

わずか0.3%です。



世界第3位の消費国・日本はアフリカの小国にとって

非常に魅力的で、なんとか買って貰いたい存在。




ミュージアム見学で、少し同情的な感情を抱きつつも

僕たちは、どうしてもルワンダに解決して貰わなければ

ならない問題を話し合いました。




「ポテトフレーバー」





その言葉を聞いただけで生産者や輸出業者は顔を曇らせます。




ルワンダとその隣のブルンディのコーヒーにだけ起こる現象で

生のポテトをすり潰した時の匂いがする欠点豆が出来てしまうのです。





ポテトの原因は未だに分かっていません。




土壌が原因とか、水とか、虫とか。

色んな事が言われてきました。





その日のミーティングでも、アメリカ、日本、オーストラリアの

大学の研究機関に調査を依頼しているがはっきりとした原因は

報告されていない。






ただし、カメムシの一種の虫によるウィルス感染の可能性が

最近になって報告されているが、それも証明できていない。




という途中報告が発表されました。





このポテトフレーバーは深刻な問題です。




ここルワンダではカップ・オブ・エクセレンス(COE)も開催されるほど

近年では驚異的なほど高品質なスペシャルティーコーヒーを

生産し始めています。



華やかで、フルーティーな風味は、アフリカコーヒーの

高いポテンシャルを十分に感じさせる素晴らしい味。




しかし、そのCOEのトップ15からもポテトフレーバーが出て

落選してしまう事態が続いています。




一生懸命作ったスペシャルティーコーヒーが

たった一粒のポテトによって台無しになるのです。





ポテトさえ出なければ間違いなく、

世界トップレベルのコーヒーなのです。





なぜ、ルワンダとブルンディだけが、、、。





生産者はきっと呪いたい気持ちだと思います。





それでも現在ルワンダの輸出品第一位はコーヒーで

外貨獲得にはコーヒーに頼るしか無いのが現状。





ポテト対策について生産者から、色んな報告がありました。



ウチの農園は今年からカメムシ対策として

ペットボトルに砂糖水を入れた罠を仕掛けて

毎日取り替えている。





ウチの農園は土壌改良のために肥料を自分で

作って2年後には新しいマルチングシステムに移行する。





などなど。





原因が分かっていないのにも関わらず、

何とか必死に対策を講じているのです。




同行した日本のロースターさんの中にもルワンダのコーヒーを

使っているお店がたくさんありました。




「ポテトが出たらどうしますか?」

という質問に、


出たら出た時よ。

元々美味しいコーヒーなのにポテトを理由に使わないのは

もったいないし、きちんとお客様に説明しておけば問題ない。





アースベリーコーヒーではまだルワンダのコーヒーを

扱った事がありません。







それはポテトフレーバーに対する僕の無知でもあり

お客様に対して責任を持ってご説明する自信が無かったからです。




今回のルワンダ訪問は僕にとって

ルワンダという国と、ルワンダコーヒーを知る

素晴らしいキッカケになりました。






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彼等は、いつかきっとポテトフレーバー問題を

解決してくれると思います。




だって、彼等はジェノサイドさえも乗り越えて

ひたすら前に進み、新しい世界を開いているのだから。





たくさんの人もルワンダを応援しています。



実は夕食での席でゲストとしてルワンダで活動している

日本人の方達がお越しになりました。






その中におられたNPOを主催するミトさんという女性は

ルワンダのコーヒー農園で働く女性たちが

オフシーズンでも収入があるようにと

伝統工芸品を「お土産」にするプロジェクトで

頑張っていました。




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元々は、生活必需品だったカゴ細工を

小さくデザインして、スーツケースに入るように工夫。



最近やっと日本にも輸出出来るようになったそうです。




作ってる女性はジェノサイドで未亡人になった人ばかり。



母子家庭はやはりどこの国も厳しいとの事で少しでも

暮らしの足しになればとの思いで始めてルワンダに住んで

5年になるミトさんも今年お子さんが生まれたばかりのママです。





たくさんの人に支えられ

自分たちも努力しながら進むルワンダ。




僕はルワンダの事を知り

ルワンダが好きになりました。





そして次の日、ルワンダのコーヒー農園とルワンダにある

「スターバックス」のファーマー・サポートセンターで体験した事は

僕にとって「スターバックスコーヒー」という会社の本当の凄さを知る

とても印象的な事でした。





僕たちが愛するコーヒーは世界と通じている。

しかし、日本は世界に遅れている。





そんな事を実感させてくれる素晴らしい経験になりました。




ルワンダのコーヒー農園の女性たちは明るくて

みんな歌が上手なんですよ。






つづく











posted by 大地の実 at 18:53| 豆記世界編2013DEC