2014年02月04日

ロイヤー。 〜豆記世界編・コスタリカ〜





今日はちょっとシリアスなお話です。






コスタリカとグアテマラを旅して楽しい思いをたくさんしましたが、

その反面、コーヒーの影と言うべき現実も見る事ができました。





「ロイヤー」というコーヒーの病気があります。




日本ではサビ病と呼ばれているのですが

ロイヤーと言うのがインターナショナルだそうです。





このロイヤーはかなり厄介は病気で、

その昔、インドやセイロン、ジャワという

産地のコーヒーを全滅させた事もあります。







ロイヤーの原因はウィルスです。



このウィルスがコーヒーの木に付着して感染すると

葉っぱがやられます。




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写真はロイヤーに感染したコーヒーの葉。

サビたように変色し、最後には葉が落ちます。

葉が落ちた木には、花が咲かず、実が成りません。





そして最後には、木が枯れます。





このロイヤーの最も厄介な点は”空気感染”する事で

農園を越え、地域を越え、国を越えて拡大します。




特に標高の低い場所から感染して行きます。








2014年現在、このロイヤーが中南米で猛威を降るっています。



ロイヤーに関する記事


中米でコーヒー産業200万人が失業の危機に瀕しています。




昨年2013年、ニカラグアではロイヤーの影響で

国全体のおおよそ半分の40%のコーヒーが壊滅しました。



毎年開催されていたニカラグアのCOEも中止となり

生産者の希望の光が失われつつあります。






コスタリカも他人事ではありません。





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1600m級の標高を誇る、優良農園の周りでも

昨年ロイヤーの被害が出て木が枯れてしまい、

山の地面が剥きだしになっています。





スペシャルティーコーヒーを生産する農園は標高の高い所が

多くて、今までロイヤーを特に意識せずに済んできましたが

昨年と今年は、神経をすり減らしているようです。





2014年2月現在、ニューヨークのコーヒーの取引相場が

ポンド130セントと比較的安値をつけているので、

標高の低い農園でロイヤーにやられた所は廃業する所もあります。







現地の生産者も深刻な大打撃なのですが、

実は我ら日本人にも大きな影響があります。







「農薬」です。







ロイヤーに対抗する唯一の方法は農薬です。

しかも、被害が出てからでは遅いので事前に使用します。





ロイヤーの農薬は強力な効き目があるのですが

成分も強力で農水省の残留農薬基準もかなり厳しい

数値が設定されています。





この農薬検査にひとつでも引っ掛かれば、

日本に輸入されるはずの中米産コーヒーは

全量検査というとてつもない費用と時間を

かける事になります。







そうなると日本への輸入が止まります。








数年前にエチオピアコーヒーがこの問題で3年間輸入が

止まったのをご存知の方もおられると思います。







実は今、中米のコーヒーはギリギリの所にあり、

いつどうなるか分からない状況です。








ロイヤー対策に使う農薬は主に葉に使います。

なのになぜ、果肉を剥き、種である豆の状態で

農薬が検出されるのか。



僕はずっと疑問に思っていたのですが、

木や葉の成長期に農薬を使うと、葉はもちろん、

根から吸収されて種子に蓄積されるそうです。



ただしコーヒーは生で食べません。



必ず高温で焙煎しますし、お湯で抽出するので

基本的には昇華されてほぼ消えてしまいます。



農薬で健康被害が出る事はまず無いです。





がしかし基準は基準。



守られなければならない物であり

厳守すべき事なのです。







こんな風に書くと世界の終わりみたいですね。





でも、本当の事なのです。





しかし、このロイヤーに対抗しようと生産地では

色々な知恵を出し、必死に立ち向かおうとしています。

それは実際に農園を訪れて見ないと分からなかったと思います。








農家の人は本当に頑張っています。







僕がスペシャルティーコーヒーを支持するひとつの理由でも

ありますが、殆どのスペシャルティーコーヒーの農家の人は、

根本的に農薬を使いたくないと考えています。




可能であれば無農薬(オーガニック)を目指しています。

またそれに近い状態で栽培しています。



それは農園の管理や、自然の堆肥作りを見れば分かり、

素晴らしい農園、農家、オーナーは自然と共存することを

本当に望んでいます。




それが結局は「美味しさ」につながり、

結果収入増につながる事を知っているからです。





なので出来るだけ農薬を使わない対策として、

ロイヤーに強いとされている品種を植える事をしています。





コスタリカで訪れた多くの農園では驚くほど新しい品種を

植えていました。



ヴィジャサルチ、ヴィジャロース、ケニヤSL28など。



ヴィジャサルチなどはコスタリカで品種改良された

新しいタイプで病気に強い特性があり急速に増えています。

そして気になったのはケニヤSL28の存在。




とても多くの農園が取り入れていて驚いたのですが、

文字通りアフリカ・ケニヤで栽培されている品種です。



SL28とはスコットランド・ラボラトリー28号の略で

ケニヤは昔イギリス領だった事もありコーヒー事業も

イギリスの管理下にありました。



その当時イギリスで開発された品種で、

ロイヤーに強く風味も良いという特性があり

昨年から注目されています。




まだ、植えられたばかりで収穫されていませんが

この先、希望の光となるかもしれません。





また、コーヒーの木の自然療法という考え方で

木自体を健康にして病気に強くするという事も試されています。



これは少し長期的な考え方ですが、

農園の土自体をもっともっと肥やしてゆき

木を健康に、強くするという取り組みです。



自然のバクテリアや他の植物を共存させて

ロイヤーに感染しても感染がその木だけで終わる。

ということを実現させようとしています。




この計画、僕はコスタリカでは半信半疑で聞いていましたが

後日グアテマラの農園で実際にこの光景を目にし衝撃を受けました。

(この話はまた後日!)




と言う訳で、コーヒー栽培は常に自然との戦いであり

共存の模索でもあります。







今、生産地は本当に危機的状況です。





すでに廃業する農園も出てきていたり、

後継ぎの子供がコーヒー栽培をやめる所も増えています。





この先もしかしたらコーヒーは絶滅するかもしれない。






そんな事を感じた旅でもありました。






でも、まだまだ、健康で被害の無い農園はたくさんあります。

「標高はお金で買えない」という名言がありますが、

本当にその通り!






1500m以上の農園では、まだまだ素晴らしいコーヒーが

栽培されています。




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きっと大丈夫さ!




そう祈らざるをえません。





コーヒーの光と闇。




僕はコーヒーをスペシャルティーコーヒーという

品質重視の視点でずっとコーヒーを見てきましたが、

現実の状況を見てちょっと意識が変わりました。




コーヒーはコーヒー。


同じ物なのです。





それは人も同じ。




ロイヤーの被害がでた農家をどう救うのか。

それぞれの国の力量が問われる時でもあります。





何か出来るものならしたいですが、

それはあまりに無力なのです。






せめて、日本の方にたくさん美味しいコーヒーの事を

知ってもらい、たくさん飲んでもらう事しかできません。





サスティナビリティ(持続可能性)がしきりに叫ばれていますが

やはりそれは現場を知る事から始まると思いました。





そんな中でのアースベリーコーヒーの役割というのも

少し見えてきたと思います。

だって、産地が駄目になったらアースベリーコーヒーも

存続できないからです。




僕たちは一心同体!






課題は多く、困難な事ばかりですが、

明るく前向きなラテンの人たちを見ていると

何だか「きっと大丈夫!」なんて思えました。








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今日も産地では頑張っています!



みんな!頑張れ!!






さて、次回の豆記世界編はコスタリカで出逢った

おいしい食べ物のお話です!



アフリカもそうでしたが赤道付近は

フルーツがとにかく美味しい!!




初めて食べたトロピカルなフルーツたちや

コスタリカで食べた驚きの和食の事など!




お楽しみに!




(明日は愛媛に出張の為、〜豆記世界編〜はお休みします!)







posted by 大地の実 at 17:53| 豆記世界編2014JAN