2017年09月15日

季節とコーヒーの焙煎と。




最近また、朝に少しランニングをしてます。


昼間は暑い日もありますが、

朝は肌寒い日も多くなってきました。




お店のブルーベリーの木も、

ちょっとだけ紅葉が始まっています。




この季節になると、

コーヒーの焙煎がグっと楽になって

風味も明るく軽やかになってくれます。





焙煎で一番難しい季節は、やはり夏です。



特に湿度が高い日は、とっても難しい!



ワタクシの使うプロバットという焙煎機は

特に蓄熱性が高くて、熱がこもる性質があります。




普段はこの蓄熱性が、素晴らしい焙煎の

手助けをしてくれるのですが、

夏場に限っては、逆に少し弱点になるのです。




とはいえ、一時期のことですし、

5年目を迎えるにあたって、

かなり対応できるようになりました。



きっと、お客様が気が付かないレベルの

変化で収まっています。笑





秋になってからの焙煎は

心躍るような感覚です。





思った通りのフレーバーが出て、

質感もクリーンカップも良くなります。



つくづく、コーヒーの焙煎は

空気の流れ(排気バランス)と

火力コントロールに尽きると感じます。

結局これが原理・原則なんだと思います。




ある人がいつも言うのが、

「良い焙煎は、一流の職人が揚げる天ぷらと同じ」

カラッして、素材の風味を最大限に引き出す。

絶妙な火加減と水分のコントロール。




とってもよく分かります。



軽やかで、素材本来からくる甘い酸は、

コーヒーに限ったことではない、とも思います。



焙煎機の性能も大きなキーワードになります。



他社の倍ある分厚いドラム、

スイスの鉱山から採掘して作った鋳物の

ボディからくる素晴らしい蓄熱性を利用して、

無駄なく効率よく水分を抜く洗練された設計。

そしてフレーバーを最大限発揮させるパワフルな火力。

そして、それらを支える強い排気バランス。





開業前に色々と焙煎店を巡ってみて、

プロバットのお店のコーヒーが香りが強いと

感じた理由は、こんなところにありました。



夏に比べて、コーヒーが美味しく感じる

季節がいよいよ来ました。




焼き立ての素晴らしいローストの香り!

口いっぱい広がるアロマとフレーバー!





ぜひ、皆様も楽しんで下さいね。






posted by 大地の実 at 18:40| 焙煎のこと

2016年01月13日

生豆の温度。



年明けからまだ5営業日ですが、

ありがたいことにコーヒー豆が良く出ます。





せっせと焙煎に勤しんでおりますが、

実は、年明け最初の焙煎が絶不調で

いきなり冷や汗をかきました。




香りが開かず、酸も明るさを失い、後味が苦渋い。




幸い途中で気が付いたので、その後は修正できたのですが、

この時ある言葉を思い出したんです。




以前、お世話になっているバイヤーさんのお店に伺った時のことです。






コーヒーの焙煎をしている人間にとって、

季節の変化はとても悩ましいもので、

特に春から夏に変わり「高温多湿」になると

焙煎が非常に難しくなります。




これは、空気中の湿度が高いと

空気(排気)の流れが遅くなり、

空気中の水分にカロリー(火力)が奪われて

適切な焙煎が難しくなるからです。




バイヤーさんとお話していると、

「夏は難しい問題」になって理由や改善策を聞き、

とても役にたったことがあります。



ところが、焙煎が難しいのは「夏だけじゃない問題」

という話になって、その時に話されていたのが、

「お正月休み明けの焙煎は難しい問題」でした。





僕は初耳だったので色々とお話を聞いたのです。






このお正月明けの焙煎で明らかに香りが閉じた時、

すぐにこの時の言葉を思い出しました。




「生豆が冷え過ぎていると失敗する」





まさにその通りでした。



生豆を手で触ると、明らかに「冷たい」。


サーモセンサーで温度を測るとなんと「4℃」!




いつもは15℃〜20℃位ありますから、

マイナス10℃の差があった訳です。



お正月休みを1週間頂いた間に

お店も冷えて、生豆も冷え切っていたのです。





生豆が冷え過ぎるとなぜ失敗するかというと、

焙煎中に、芯まで適切に加熱出来ていないからで、

いわるゆる表面温度と芯の温度との差ができてしまうのです。




色はしっかり付いて焼けているように見えても

飲んでみると香りが閉じて後味が悪いという現象に。




解決策は簡単なもので、

生豆を1時間程度、暖房を入れた室温で置くだけで

15℃くらいまで温度が上がって、

それからはいつもの焙煎ができました。





焙煎はとてもシンプルです。



扱うのは”火力”と”排気”だけです。




ところがそこに蓄熱や気温や湿度や生豆の温度という

味に影響を及ぼすいろんな要素が絡みます。




そして「味が突然変わる」という現象が起こります。





そうなると、ある意味「謎解き」のように

推理や検証をしながら答えを追い求めます。





ある時は迷宮入りしてしまい

メシも食えない状態になります。




ある時はズバッと解決して

俺って天才か?など思ったりします。




トライ&エラーを何回も何回も繰り返して

悩んで悩んで、検証して検証して、

見つけた答えは自分の技術になってゆきます。





そして、僕の場合、トンネルを抜ける一番の早道は

たくさんの人の話を聞いておくことだと思います。




その時は、意味も分からず、ピンとこないことが

何年も経ったあとに、突然「天の声」となって

降り下りてきます。





ああ!あの時、あの人が言ってた!!!




そんな感じで何度となく救われたので

本当に実感しています。



みなさんも、そんな事ってありませんか?




このブログも、

もしかしたら悩んでいる人のヒントになるかもしれませんし、

いつ何が起こるか分かりません。



ただし、このブログで悩みが解決した場合、

遠慮なく恩返し頂戴しますのでよろしくお願いします。




今年も、おいしいコーヒーを皆様にお届けできるよう、

スタッフ一同、丁寧に明るくコーヒーを作って参ります。




さあ、コーヒーを楽しもう!













posted by 大地の実 at 17:03| 焙煎のこと

2015年07月02日

自転車に乗ってトンネルを抜けて行く。




先日、コーヒーの焙煎セミナーへ参加しました。





毎年開催されているSCAJの焙煎品質ワークショップで、

共通の課題豆(今回はコロンビアの良いやつ)を

それぞれがお店で焙煎して比較してみようというモノです。




この度は全国、津々浦々の31店舗の焙煎屋が参加して

一斉に比較してゆきベストカップを選んでゆきました。




すべてブラインド(誰の物か分からない)でカッピングして

素晴らしい焙煎をされたコーヒーを見つけます。





初めて参加した時は、このカッピングが分からず、

どれが良い焙煎のコーヒーか分からなかったw。



もちろん自分の焙煎の良し悪しも分からなかったw。



そしてベストカップのコーヒーがなぜ良いのか分からなかったw。



分からない尽くしだったw。



(やっぱ俺には才能がないんだ、、、)

そう思いながら新幹線に乗っていたものです。





そんな悩みを先輩の同業者へ相談すると、

「あはは、大丈夫!大丈夫!みんな一緒だよ。

 あれはね、経験しかないよ、トライ&エラーで

 たくさん失敗して検証して経験すると分かるからね

 自転車と一緒。でも大切なのは練習ですよ。

 努力しなければいつまでたっても成長しません。」



そんな言葉をもらってから2年半。




2回目の参加では、なんとなくボンヤリ分かったのか

分かってないのか。そんな感じでした。



その時、講師の方から僕が焼いたコーヒーにもらったアドバイスが、

「随分ギリギリで焼いてますね。もっとフレーバーを出すように」

言われている意味が分かりませんでした。








今回、3回目の参加でしたが少し変化がありました。

良い焙煎、悪い焙煎の違いが分かるようになって、

なぜ良いかなぜ悪いかも理解出来ていて、

コーヒーがようやく見えてきた感覚がありました。






僕が焼いたコーヒーもすぐ分かったし、

今回の焙煎の欠点もわかりました。

(僕のカップはトップ10圏外ですが)




トライ&エラー。

そして改善へ。




ようやくコーヒーという自転車に乗れるようになったと。





時々、転ぶこともあるけれど、

それでも、前よりもずっと遠くへ行けることが嬉しく、

歩いていた時よりも早く進めるようになったことが嬉しく、

今まで知らなかった景色が見えることも嬉しく思います。






このコーヒーのトライ&エラーは

トンネルに入ったり抜けたりする感覚に近くて、

分かったと思ったら真っ暗になって、

また明るくなったと思えば暗くなったり。




今回は一つのトンネルを抜けましたが、

きっと次なるトンネルが突然現れることでしょう。



コーヒー屋やってる以上、

ずっと続くことなんですが。



それでも、自分で少しは成長してるかなと

実感できることはやはり嬉しいことです。







posted by 大地の実 at 15:50| 焙煎のこと

2015年06月20日

世界から観る世界。




スウェーデンのヨーデボリで開催されていた

珈琲の焙煎世界大会が終了しました。




日本代表は惜しくも入賞ならずでしたが

きっと全力を出されたと思います。






焙煎の競技大会って何するの?


きっとそう思う人がほとんどでしょう。





簡単にルールを説明すると、

シングルとブレンドを作るのですが

数種類の課題豆の中からサンプルローストして

好きな豆をチョイス出来ます。




使う豆は生豆のグレーディング(品質評価)を提出して審査。

そして、ここが一番難しい所ですが、

焙煎する前に、自分がどんな焙煎をするのか

何℃で投入して何℃でターンアラウンドして

1分間に何℃づつ上げて火力はこうして、

デベロップメントタイムはこれくらい。

焙煎時間はコレくらいで、何℃、何分で終了する。

そして、どんな風味になりどんな甘み、どんな質感

どんなボディ、どんな後味になるか。

という記録を焙煎する前に提出するのです。




そして、本焙煎した後に

審査員がブラインドで味覚審査。




最もおいしいコーヒーなのはもちろん、

事前に提出した”計画書”とどれだけ

正確に再現できているのかを審査されます。




もしそのコーヒーが”奇跡のように素晴らしい風味”であっても、

たまたま、美味しくなったコーヒーは評価されません。




焙煎の技術の高さとは、

目的と結果が一致することです。






これは、実に難しいことで、

その日の気温や湿度、環境などでも

かなり左右されますし、使い慣れないマシンでは

なおさら再現性を実現することは困難です。





これが競技会なのです。




焙煎世界大会決勝の焙煎データ



ここにあるデータは、コーヒーを焙煎する人間には

どんな焙煎をしているのかよくわかる数字です。



上のグラフは生豆が焙煎されて行く温度と時間の変化で、

下のグラフは火力コントロールのログです。

各選手、時間内に3〜4回焙煎していますが、

それぞれの焙煎に”意味”があります。

フレーバー担当の焙煎、

質感担当の焙煎、

アシッデティ(酸)担当の焙煎。

などなど。








優勝はノルウェー

2位はスウェーデン

3位は韓国です。





僕のような未熟者から見ると、

よくこんなギリギリの焙煎を!

しかも再現して!


味を実際に見てないので想像の範囲ですが

この焙煎ログを見ているだけで

物語りを読んでいるようです。





普通、コーヒーの焙煎は12分〜15分位なのですが、

殆んどの選手が10分以内の短時間焙煎。




かなり高温で一気に焼いて

香りを爆発させるようにしています。

しかも1℃・1秒を計算し尽くして!





もちろん、これは競技会向けの焙煎なのですが、

かなりレベルの高い焙煎でもあります。





1℃・1秒の世界をクールにコントロールして

コーヒーのフレーバーを制するものが世界を制するのです。



なんだかワクワクしますね!


やっぱりコーヒーは面白い!




このステージを目指して日々の焙煎に励みます。








posted by 大地の実 at 17:26| 焙煎のこと

2015年06月04日

三徳六味




梅雨入りしたのに30度越えの真夏日でしたね。





この時期、おそらく多くの焙煎士さんたちは

焙煎の不安定さに悩む季節なのです。






ウチもそうです。







ここ2週間はとても焙煎が難しく、

フレーバーの発達にムラがあったりして

冷や汗をかきながら、薄氷を踏む思いで

毎日を過ごしております。





ようやく、火力と排気のバランスの調整ができて

安定した焙煎になりました。





たった2〜3mmの排気量の制限パターンと、

数oの火力メモリの操作パターンを変えただけですが、

このベストバランスを見つけるのに必死です!



一旦、落ち着けば今度は秋まで安定してくれます。





ここで少し、良い焙煎と、悪い焙煎の違いを

簡単にご説明してみますと、




【良い焙煎】
・フレーバーが発達して、珈琲豆の素材の持ち味が出ている。
・酸が軽やかで華開かれ、甘味を感じる。
・後味がクリーンで透明。余韻も心地よい。



【悪い焙煎】
・香りが弱く風味がフラットで特徴的でない。
・重たくて閉じこもった風味、トゲトゲした酸。
・特に冷めてから、渋み、すっぱ味を感じる。






ひぇ〜!!

怖いですね〜!!この差は!!






時として、気が付かない程度の差なのですが

僕たちコーヒーロースターにとっては

とても大きな差であります。





鎌倉時代の僧侶で有名な道元禅師はその昔

食事には「三徳六味」が必要だという言葉を残しました。




”六味”とは、お馴染みの

苦味・酸味・甘味・辛味・塩辛味・渋味を

すべてバランスよく調えること。



そして”三徳”とは

【軽軟(きょうなん)であること】
*あっさりとして軟らかであるという意味


【浄潔(じょうけつ)であること】
*きれいで汚れがないという意味


【如法作(にょほうさ)であること】
*法にかなった調理がなされているという意味




この三徳は、

味のことでもあり、

作り手の心の持ち方であり、

自分の環境のことです。




そうすると自然に”六味が調う”という話だそうです。





これは、料理に限ったことではなく、

珈琲の焙煎にも、どんピシャリで当てはまります。


例えば珈琲の”六味”では

香味・苦み・酸味・質感・綺麗さ・甘み・調和・となり、

このバランスが最も大切な味作りです。



モノ作りにはすべて精通するように思います。





古今東西、

”美味しい”という概念に国境も時代もありません。




それに、無理して飾り立てた味には、

美しさがありませんよね。






僕は、超深煎りとか、超浅煎りが苦手なんです。



無理して作られた味は、どうしても無理して受け入れるしかなく

心と体のどこかで自然と拒否してしまうのです。



みなさんも、そうではありませんか?





おいしい。と思える味は

やさしくて、甘くて、綺麗です。




焙煎に迷った時はいつも思い出す

三徳六味のお話しでした。




posted by 大地の実 at 18:23| 焙煎のこと