2013年12月12日

聞いてみるもんだ。〜豆記世界編・7〜







「聞いてみるもんだな。」






皆さんもそう思った事があると思います。

今回のアフリカの旅では、専用の車をチャーターして

現地人の専属ドライバー付いていました。







農園訪問ミッションとはいえ現場の滞在時間も限られて

いるので現地の人との交流の時間も少なく、

結局、現地の人との交流と言えば7〜10時間の移動中の

ドライバーとの会話が一番深いコミュニケーションでした。





彼らはプロです。




我々のような外国人をアテンドする仕事なので

ドライブの車中でも話題が豊富!!






色々な話を進んでしてくれたり、

僕たちの質問には必ず答えてくれました。





何気に聞いた質問に僕たちが思ってもみなかった

答えが帰ってくる事もあって

「いや〜。聞いてみるもんだなぁ!」

という具合。






エチオピアでは移動時間が長く、

外の景色を眺める時間も多かったですが、

平原の中にふと現れた小さな町の中に、

「ジャマイカ」の国旗や、大音量のレゲエを流している町が

あって、明らかに異質な雰囲気をかもし出していました。





「この町はジャマイカブーム?」みたいな質問に、



「え?知らないの!?」と言いやがりまして

詳しく理由を聞くと、この町はジャマイカタウンで

ジャマイカからの移民の町だそうです。




ジャマイカからの移民。



聞き間違いかと思いましたが、本当でした。




なぜ彼等は、エチオピアよりはるかに豊かな国から

わざわざこんな”貧しい国”へ来たのか。




エチオピアにあるジャマイカ移民の町「シャシャマネ」には

実はこんな秘話がありました。






昔、エチオピア帝国は皇帝が存在しました。

皇帝の起源は紀元前のシバ女王とソロモン王の子孫で

1975年に亡くなったエチオピア最後の皇帝は225代目。





一方、カリブ海のジャマイカ島では牧師による不思議な

未来の予言がありました。

「アフリカに黒人の王が誕生する時、それは救世主となる」



その予言から14年後、エチオピア最後の皇帝が即位しました。



1963年、エチオピアにイタリアが侵攻して来た時に国王は

イギリスに亡命した時、嘘かホントかジャマイカにも立ち寄ったそうです。




その時、すでに彼が”予言の救世主”と言う事がジャマイカでは知られていて

飛行機から皇帝が降り立ったその時、雨が降ったそうです。





乾季のジャマイカに降った雨。



ソロモン王の子孫で予言の救世主。




色々な偶然が重なって、エチオピア最後の皇帝ハイレセラシェは

ジャマイカで現人神とされました。



そして皇帝を崇拝するジャマイカ人がラスタファリアンという宗教を作り

「黒人の故郷”アフリカ”への帰還」という信仰を唱えたのをキッカケに

ジャマイカ人のエチオピア移住が始まったそうです。






ジャマイカから来る人たちは、相当な覚悟で来ます。

むろん骨を埋めるつもりで。



ジャマイカ人にとってエチオピアは聖地の中の聖地なのです。



彼等はエチオピアで町を作り、毎日、毎日、

レゲエを躍り、マリファナを吸うそうです。




あの有名なボブ・マーリーも来た事があるそうで、

すごく大規模なレゲエフェスを開催したそうです。






エチオピア人はジャマイカ人と仲良いの?と聞くと

「いんや、そうでもない」だそうです。





ジャマイカ人の一方的なエチオピア信仰で温度差はあるものの

腕の良いドレッドヘア職人はジャマイカ人に多くて、

エチオピア人でもオシャレに決めたい時はこのジャマイカタウンで

ドレッドにしてもらうそうです。

なんとも面白い!





そして、エチオピアでは家畜を飼っている人が多く

牛、ヤギ、羊、は当たり前です。



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普通に道路を横断したりするので

車が止まる時は家畜の往来です。




ところが、家畜の中で最も価値のある物を聞いてみると

1は「ラクダ」だそうです。


ちなみに一番安いのは牛。(理由は不明)

次にチキン、ヤギです。





確かにラクダはあまり見かけませんでしたが

たまに数頭が群れでいるのは見ました。





しかし、エチオピアでラクダのイメージが無かったので

食べるの?と聞くと「NO!NO!食うわけねーだろ!」

みたいな返事。





じゃあどうするか、「輸出」だそうです。




アラブ諸国への輸出がメインでアラブのラクダは

実は90%以上エチオピアからきたラクダなんだそうです!!!




ショック!!




アラブの砂漠で産まれ育ったラクダかと思ってましたが

エチオピア産まれのエチオピア育ちらしく、

ちょっと暑さに弱いそうです!!






そしてそのラクダは日本円で一頭50万円くらい!


エチオピアの平均年収以上の値段に僕たちは

衝撃を受けて「みんなラクダ飼えばいいじゃん」と言うと

お前ら分かってないなぁ、みたいな顔で、



「ラクダを飼えるのは、昔から決まった家だけ。

 ラクダの取引市場には顔見知りしか入れないルールで

 あれは特権なんですよ、旦那」



なるほど。


確かにラクダを飼ってる近くの家は

ボロボロの小屋みたいな家なのに

電線が通ってて、大きなパラボナアンテナが

付いてたりして、ものすごい違和感を感じました。




あれは、エチオピアの金持ちの家だったんですね。





まったくエチオピアは不思議あふれる国でした。






そして、アフリカの旅が終わった時に、

トランジットとしてドバイで半日ほど観光しました。




このドバイ、行かれた方もおられると思いますが

本当にスゴイ国です。






UAE(アラブ首長国連邦)なのですが、

7つの小さな国が集まって出来ています。




7人の王が統治していて、大統領を持ち回りしており

現在はアブダビの王が就いています。




このUAEはご存知、産油国で超、超、お金持ちの国です。




30年前まで砂漠だったドバイにとんでもない大都市を作り

世界一の建築や技術を集結しています。



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世界一のタワー「ブルジュ・ハリファ」はもちろん

「東京スカイツリー」より遥かに、高く、美しい。



そこから見える景色は富の溢れる国の姿。




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そして世界一大きなショッピングセンターには

砂漠の国なのに、バカでかい水族館があり、

その水族館トンネルの入場料は5千円と高い!!




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僕のような庶民は外から眺めるだけ。





そして珍しい「アラブコーヒー」も飲みました。




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黒くない!!

そしてコーヒーの味がしない!!





みんな、初めての体験だったので、

絶対コーヒーが入ってない!お店の人が入れ忘れてる!

などなど。



日本のコーヒーのプロフェッショナルたちが騒ぐ中、


「これがアラブの伝統的なコーヒーです。

 コーヒー豆を極めて浅く焙煎してカルダモンと一緒に

 粉にしたものをお湯に漬けこみ、上澄みを飲みます」


という説明に一同驚愕。


いや、世界は広い!!

また新しいコーヒーを体験できました。








また駐車場には見た事ないような超高級車がズラリ。



フェラーリ。

ロールスロイス。

ジャガー。

アストンマーチン。

ベントレー。



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などなど。




僕はあまり詳しくないですが、

同行した人たちは大興奮。





そしてこの日、ガイドしてくれた人がドバイに住んで8年の

日本人女性で、ドバイ人の旦那様と結婚、現在2人のお子様もおられます。




その人の話は、住んでる人が知る本当のドバイでした。




UAEの国民は大学を卒業すると全員公務員になれます。

国民は公務員、実業家、宗教家の3つの職業を選択できて

一般的な公務員になると初任給が50万円(月)。

もちろん昇給あり。

男性も女性も同じく。






所得税や相続税などの”税金”は一切なく、

医療費、学費は生涯無料。




結婚すると、家と土地(バカでかい)が国から支給。




公務員の仕事も、週4日程度で朝8時から午後2時で終わり。

公共機関も2時で終わります。




結局UAEの人は、夫婦で100万〜200万給料を毎月貰い

税金もないので、お金が溜まる一方だそうです。




だから買い物も半端じゃなく、

ショッピングセンターのなかには

カルチェやエルメスなどのお店が

すごい広さで構えられていて

結構なお客さんがいました。





特に女性は恵まれていて

家事や育児は100%メイドや乳母を雇い、

一切家の事はやりません。




子供の行事などは男性がやる習慣だそうなので

本当に何もやらず、毎日お買いものばかりだそうです。





未婚の方。



ぜひUAEの人を捕まえて下さい!!



本当の玉の輿が待っています!!




特に日本人女性はアラブ人男性には人気だそう。








でも、アフリカの原始的な魅力に取りつかれていた僕には

実はドバイはさほど魅力的には映りませんでした。





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あと100年で石油も出なくなるそうです。





何か、砂漠に現れた蜃気楼でも見たような、

アラジンの魔法でも見ているような感じでした。





エチオピアからルワンダ、そしてドバイ。

今回の旅で、コーヒーの色々な面をみる事ができました。

と同時に”人間の色々な面”も見る事ができました。




パワフルでエネルギッシュなアフリカ。

富に溢れ、毎日が夢のような生活のドバイ。

そして、僕も含めた日本人。




いろんなコーヒー。


いろんな人間。


旅は本当に面白い。





今回の旅で、

僕はあらためてスタートラインに立った気がします。




今まで、日本だけでやってたコーヒーの世界は

実はほんの一部でしかなく、コーヒーの事を知っているようで

本当は何も知りませんでした。



カフェの仕事をやってきて、

焙煎をやった時、世界が広がった気がしました。





焙煎の仕事をやってみて、

産地に来た時、もっと大きな世界が広がっていました。




階段を一段、一段、登る度に、

視界が一気に広がるような感覚です。





これがまたスタートラインか。




そんな風に思いました。



コーヒーは奥が深いと言われますが

本当に奥が深くて、本当に面白い!!!!




スタートラインに立たせて貰って

やっぱりコーヒーの事が、

もっともっと好きになりました。





旅行記の最後に、

アフリカへ行かせてくれた家族に感謝します。

お店をしっかり守ってくれたスタッフに感謝します。

営業時間変更にも関わらずたくさん来て下さったお客様に感謝します。






アースベリーコーヒーはこれからも

美味しいコーヒーを皆さまにお届けしてゆきます。



コーヒーはカロリーも無く、お腹を満たせませんが

皆さんの心を満たせると信じています。



素晴らしいコーヒーは素晴らしい生産者が作っています。



本当に、本当に微力ですが、

アースベリーコーヒーが皆さんとコーヒーを繋ぎ、

皆さんと世界を繋ぐ事ができればいいなと思います。





アースベリーコーヒーの使命である

「たくさんの人に、コーヒーとの素晴らしい出会いを作る」




これからも、素晴らしい世界へ

皆さんをご案内して行きます!!!








最後まで読んで下さりありがとうございました。








   完









posted by 大地の実 at 19:41| 豆記世界編2013DEC

2013年12月11日

コーヒーとは何か。〜豆記世界編・6〜







ルワンダには「スターバックスコーヒー」の

”ファーマー・サポート・センター”という機関があります。

(以下・FSC)








皆さん良くご存知、あの”スタバ”です。







皆さまはスターバックスコーヒーという会社に様々なイメージを

お持ちだと思います。




90年代から新しいコーヒーカルチャーを切り開き

世界のコーヒーを変えたコーヒーショップですが、

最近は店舗数も日本で1000店舗を越えて、

少し「チェーン店」という感が僕にはあったのですが、

まさかアフリカの小国ルワンダで、このスタ―バックスの

本当の凄さを感じる事になるとは思いませんでした。








この日訪問したのは「ムササ農協」という小さな

ウェットミルです。






このムササ農協は「スターバックスFSC」の協力を得て

高品質のコーヒーを作る努力をしています。








本当に素晴らしい景色です。





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僕たちが景色に見とれていると

農園の女性たちが歓迎の歌を披露してくれました。

(FBに動画UPしています)




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彼女たちは歌が生活の一部で

歌と共に生活があります。

そしてコーヒーと共に生きています。







このウェットミルはとてもレベルが高く

ウォッシングステーションの設備も最高。







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ただ、ここまでなら他の農園にもあるそうなのですが、

このムササ農協のすごいのは”土壌作り”にありました。






農園の中に、試験場の区画を作り、人口でシェードツリーを作ったり

マルチング(下草の再利用で肥料化)で土壌試験したり。



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ちゃんと土を検査機関に出して成分検査して

足りない栄養分を効果的に補う方法を取っています。



そして品種ごとに植えてチェリーの実の付き方を

比較し土地に一番合う品種を見分けたりしています。






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これは世界最先端のコーヒー栽培だそうです。





エチオピアの原始的なコーヒー栽培ばかり見てきた僕は

あっけにとられたように説明を聞いていました。





なぜこのような世界最先端のコーヒー栽培が出来るかというと

最初にご説明した「スターバックスコーヒーFSC」のお蔭です。






この機関は、中米やアフリカなど世界各地に設置されている機関で

世界のコーヒー農園に最先端の栽培技術を提供しています。






それだけでも十分凄いのですが、スタバが本当に凄いのは

その協力関係にある農園や農協からコーヒー豆を買う事を

目的にしていないのです。





もちろん、購入している所もあるそうですが、

殆どの場合は技術提供が目的です。






結果として、このムササ農協は2012・2013と連続で

ルワンダのCOEに入賞しました。




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これ以上の成果があるでしょうか。



まさに大成功例です。




ムササ農協から、首都キガリのスターバックスFSCに移動して

さらに詳しく活動内容を聞いてビックリ。




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広々としたオフィスには、カッピングラボはもちろん、

ロースティングルーム、セミナールームなどなど

素晴らしい環境が用意されています。






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特にこの地図が凄いのですが、

これはルワンダ国内の土壌検査をしたマップ。




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このマップを元に、農園主たちに自分たちの土地に

何が足らず、何を肥料にすれば良いか教えます。






実際に農園主をこのオフィスに来てもらい、

まずカッピングを教えるそうです。







スタバFSCルワンダ担当のジュリアンが言います。




「私たち消費者がどんなコーヒーを求めているのか。

 どんな風味を求めているのかを知ってもらう事から始めます。

 生産者だからコーヒーを飲まないと言うのはナンセンスで

 そんなの悔しいじゃないですか。

 共有すべきです。お客様に良い物を提供したいならば

 良い物を育てなければなりません。」






僕はショックでした。






おそらく全てのコーヒーに関わる人間にとっての

”理想の考え”なのです。







日本も思ってる人はたくさんいるけど

実行している人は誰もいないでしょう。






スターバックスは”それ”を本気でやっていました。










長い時間と費用をかけても、

生産者に消費者の求めるコーヒーを理解してもらう。



それは凄まじい規模の投資です。




ある日本のコーヒー業界の有名な方が言いました。



「日本のコーヒーは遅れています。

 でも誰も危機感を持っていません。

 みんな、のんびりしています。

 このままだと日本に美味しいコーヒーは

 入ってこなくなるでしょう。

 世界に負けてしまうでしょう。

 みんなが気がついた時には遅いでしょう。

 もしかしたら、もう手遅れかもしれません。」




この話を聞いた時はピンと来ませんでしたが

ジュリアンの話を聞きながら僕は心底、震えました。








日本では未だに価格重視の低品質なコーヒーが主流で

輸入業者や商社や大手メーカーも、考え方は同じです。





世界は本気で理想を実現しようとしているのに

僕たち日本人は、、、、、。






正直、悔しかったです。




規模は小さいですが、僕も高品質なコーヒーを提供するべく

起業したひとりです。




志もあるつもりでしたが、

自分の無知、不勉強、力不足を

これほど感じた事はありませんでした。




今の僕には世界に通用するコーヒーの仕事はできません。




本当に、世界は広い。




今、その事を知れただけでも良かったかもしれません。




今回の旅で一番の収穫だったかもしれません。



この先、アースベリーコーヒーはどこに向かい、

何を求め、何をやれば良いのか。




その道が少し分かったように思います。





ムササ農協は確実に収益を上げていて

これからも素晴らしいコーヒーを作ると思います。



みんな、仕事にやりがいを感じています。



暮らしがもっと豊かになるようになります。




子供たちに希望のある未来を作れます。






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この子たちを見ていて本当に思いました。





美味しいコーヒーはみんなを幸せにする!!!!!





それはコーヒーを愛する全ての人たちの夢です。






コーヒーとは何か。




世界を見て少しだけ分かったように思います。






千の丘の国ルワンダ。



今もたくさんの困難を抱えていますが、

美しい景色は変わりません。



本気で頑張っている人たちがいました。





この人たちのコーヒーを東広島のみんなに飲んで欲しいです。






アースベリーコーヒーでは来年からルワンダコーヒーを

皆さまにお届けしたいと思いますのでお楽しみに!





さて、〜豆記世界編〜、次回はいよいよ最終回。






エチオピア・ルワンダ・ドバイの番外編です!!

アフリカで体験した面白エピソードや現地の人しか知らないような

知られざる素顔のアフリカをお届けします!!






つづく











posted by 大地の実 at 18:58| 豆記世界編2013DEC

2013年12月09日

ジェノサイドから先の世界へ。〜豆記世界編・5〜






”千の丘の国”と呼ばれ、昔から美しい国として

知られているルワンダ。




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しかし、この国には、乗り越えなければならない

大きな課題が”2つ”あります。




ひとつは  「ジェノサイドの後遺症」



ふたつ目は  「ポテトフレーバー」






この2つの事を乗り越えなければルワンダに未来はありません。







「昔、僕の家族は7人いたけど、上の兄と僕だけが

 教会に逃げて助かった。父も母も姉や兄や弟も

 みんな殺されてしまいました。あの時、僕は5歳でした。」

 



25歳の若いドライバーが言いました。







ルワンダ・ジェノサイド・ミュージアムからの帰り道、

沈黙し続ける僕たち日本人に、タブーとされている

ジェノサイド当時の話をゆっくりと語ってくれた彼は

今、この仕事はアルバイトで、英語を必死に勉強している。

もっと勉強して、いつか留学して、大好きなルワンダの為に

一生懸命働きたい。と言っていました。








ルワンダ・ジェノサイドについて

*過激な表現もありますのでご注意を。






たった100日間で80万人が殺されたこの事件を

決して忘れないようにと、ルワンダ国内に10か所の

ジェノサイド・ミュージアムがあります。









虐殺を記録したミュージアムといっても、

広島にも原爆資料館もあるしなぁ。

という感じで訪れたのですが、



ルワンダは”覚悟”が違いました。





日本のようにオブラートで包むような優しい伝え方ではなく、

たかだか20年前の事なので”鮮明な映像”で伝えているのです。

CNNの取材クルーが撮ったこの世の地獄。





人が人を殺す映像がリアルに伝えられています。



大きなナタを振り回す人に追われ、殺される人たち。

小さな赤ん坊は壁に叩きつけられて殺されます。

女性は最も酷い仕打ちを受けて殺されます。




あまりにも壮絶なのでこれ以上は言葉にはしません。




それは日本では絶対にありえない伝え方でした。





きっと全てのルワンダ国民がそれを見たくないでしょう。

もう忘れてしまいたいと思うときもあるでしょう。



しかし、その記録は鮮明に、残っていました。



ルワンダの覚悟。



ミュージアムの石碑には


「決して忘れない。繰り返さない。

 我らは同じ国民で、友人なのだから。」





僕たちはなぜ、空港からすぐにココに連れて来られたのか

分かったような気がしました。







ルワンダの事を知るなら

ジェノサイドを知らなければならず、



ルワンダと今後付き合って行くなら

ジェノサイドの後遺症を乗り越えようとしている

彼らの事を理解しなければなりません。







千の丘の国ルワンダは、本当に美しい国なのです。








20年たった今、想像もつかないくらい街は綺麗で発展しています。

それでもそこに暮らす人々は、未だ癒えぬ後遺症に苦しみながらも

少しづつ前に前に進もうと努力しています。





ミュージアムから帰ってすぐに現地の生産者や

輸出業者とのミーティング。




さっきミュージアムに行って来たよ。と言うと

必ずみんな「ありがとう、見てくれて」と答えます。





それ以上は僕たち日本人は何も言えないので

「我々のコーヒー取引の発展」について一生懸命に

本当に真剣に語り合いました。






現在、ルワンダコーヒーの日本国内のシェアは

わずか0.3%です。



世界第3位の消費国・日本はアフリカの小国にとって

非常に魅力的で、なんとか買って貰いたい存在。




ミュージアム見学で、少し同情的な感情を抱きつつも

僕たちは、どうしてもルワンダに解決して貰わなければ

ならない問題を話し合いました。




「ポテトフレーバー」





その言葉を聞いただけで生産者や輸出業者は顔を曇らせます。




ルワンダとその隣のブルンディのコーヒーにだけ起こる現象で

生のポテトをすり潰した時の匂いがする欠点豆が出来てしまうのです。





ポテトの原因は未だに分かっていません。




土壌が原因とか、水とか、虫とか。

色んな事が言われてきました。





その日のミーティングでも、アメリカ、日本、オーストラリアの

大学の研究機関に調査を依頼しているがはっきりとした原因は

報告されていない。






ただし、カメムシの一種の虫によるウィルス感染の可能性が

最近になって報告されているが、それも証明できていない。




という途中報告が発表されました。





このポテトフレーバーは深刻な問題です。




ここルワンダではカップ・オブ・エクセレンス(COE)も開催されるほど

近年では驚異的なほど高品質なスペシャルティーコーヒーを

生産し始めています。



華やかで、フルーティーな風味は、アフリカコーヒーの

高いポテンシャルを十分に感じさせる素晴らしい味。




しかし、そのCOEのトップ15からもポテトフレーバーが出て

落選してしまう事態が続いています。




一生懸命作ったスペシャルティーコーヒーが

たった一粒のポテトによって台無しになるのです。





ポテトさえ出なければ間違いなく、

世界トップレベルのコーヒーなのです。





なぜ、ルワンダとブルンディだけが、、、。





生産者はきっと呪いたい気持ちだと思います。





それでも現在ルワンダの輸出品第一位はコーヒーで

外貨獲得にはコーヒーに頼るしか無いのが現状。





ポテト対策について生産者から、色んな報告がありました。



ウチの農園は今年からカメムシ対策として

ペットボトルに砂糖水を入れた罠を仕掛けて

毎日取り替えている。





ウチの農園は土壌改良のために肥料を自分で

作って2年後には新しいマルチングシステムに移行する。





などなど。





原因が分かっていないのにも関わらず、

何とか必死に対策を講じているのです。




同行した日本のロースターさんの中にもルワンダのコーヒーを

使っているお店がたくさんありました。




「ポテトが出たらどうしますか?」

という質問に、


出たら出た時よ。

元々美味しいコーヒーなのにポテトを理由に使わないのは

もったいないし、きちんとお客様に説明しておけば問題ない。





アースベリーコーヒーではまだルワンダのコーヒーを

扱った事がありません。







それはポテトフレーバーに対する僕の無知でもあり

お客様に対して責任を持ってご説明する自信が無かったからです。




今回のルワンダ訪問は僕にとって

ルワンダという国と、ルワンダコーヒーを知る

素晴らしいキッカケになりました。






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彼等は、いつかきっとポテトフレーバー問題を

解決してくれると思います。




だって、彼等はジェノサイドさえも乗り越えて

ひたすら前に進み、新しい世界を開いているのだから。





たくさんの人もルワンダを応援しています。



実は夕食での席でゲストとしてルワンダで活動している

日本人の方達がお越しになりました。






その中におられたNPOを主催するミトさんという女性は

ルワンダのコーヒー農園で働く女性たちが

オフシーズンでも収入があるようにと

伝統工芸品を「お土産」にするプロジェクトで

頑張っていました。




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元々は、生活必需品だったカゴ細工を

小さくデザインして、スーツケースに入るように工夫。



最近やっと日本にも輸出出来るようになったそうです。




作ってる女性はジェノサイドで未亡人になった人ばかり。



母子家庭はやはりどこの国も厳しいとの事で少しでも

暮らしの足しになればとの思いで始めてルワンダに住んで

5年になるミトさんも今年お子さんが生まれたばかりのママです。





たくさんの人に支えられ

自分たちも努力しながら進むルワンダ。




僕はルワンダの事を知り

ルワンダが好きになりました。





そして次の日、ルワンダのコーヒー農園とルワンダにある

「スターバックス」のファーマー・サポートセンターで体験した事は

僕にとって「スターバックスコーヒー」という会社の本当の凄さを知る

とても印象的な事でした。





僕たちが愛するコーヒーは世界と通じている。

しかし、日本は世界に遅れている。





そんな事を実感させてくれる素晴らしい経験になりました。




ルワンダのコーヒー農園の女性たちは明るくて

みんな歌が上手なんですよ。






つづく











posted by 大地の実 at 18:53| 豆記世界編2013DEC

2013年12月07日

奇跡のコーヒー。〜豆記世界編・4〜







みなさんは青森のリンゴ農家・木村秋則さんをご存知でしょうか?



映画にもなった「奇跡のリンゴ」の人と言えばお分かりかと思います。

数年前に書籍で読んだ時、全身が粟立つような興奮を感じた事を憶えています。








一般的に無農薬や自然農法と呼ばれるやり方にはリスクが伴います

害虫、病気、収穫量の減少など。





様々なリスクを乗り越えて生産される無農薬、自然栽培の物は

野菜でも、果実でも、お米でも、風味や甘みが増すのが特徴で、

素材が持っている本来の味を楽しむ事ができます。




エチオピア・イルガチェフェ地区のコーヒーは無農薬です。




それは日本に居る時から知っていましたし、

業界では有名な話です。




ただし、こんな形でイルガチェフェのコーヒーが作られていたなんて

思っていなかったので、僕は実際にこの目で見た時に、

全身が粟立つような興奮を体験しました。







エチオピア・イルガチェフェのコンガ農協に到着した我々は

お馴染みのコーヒーセレモニーでおもてなしを受けた後、

コーヒーの果肉を剥くウェットミルや乾燥させる所を見学しました。






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驚いた事に、シーズンのピークで600人近くの女性が

一斉にハンドピックで選別するという徹底ぶり。






彼らは「選別する」ことで品質が上がり、

売値が非常に良くなる事を知っています。







それは僕たち消費者にとっても良い事で

もっと、もっと、その事を知って欲しいのですが、

地元の中間業者が買い取る場合、品質よりも

低価格を望むので、カサ増しする為に選別しない

農協も多くあるのが現状。







特にイルガチェフェでは選別能力が発達していて

そのクオリティーがカップのクリーンさになって現れるのです。







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またコンガ農協では選別によってグレード分けします。


 ■ G−2 (グレード2)

  一般的な汎用品タイプの選別で未熟豆や欠点豆のややある。

 
 ■ G−1 (グレード1)
 
  非常に徹底した選別を行うロットで、通常オーダー制となり
  直接注文の場合のみG−1ロットを作る。



そして、ウォッシュドとナチュラルの両方どちらも可能となりますが

ウォッシュドの方が発酵せず、欠点豆の選別もやりやすい為に

どちらかといえば水洗式の方が高品質になるそうです!




恥ずかしながら、僕は初めて知りました。




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上の写真のような立派なウォッシィングステーションでは

一日6トンの加工が可能で、摘み取りから時間を置かずに

素早く加工する事もできます。




チェリーを摘み取ってから時間が経つと腐ってしまう事があり

風味を著しく損なう原因になります。





ちょうどこの日も、摘み取られたチェリーが運び込まれていて

明日の加工を待っていました。





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「このチェリーはどの辺りの農園から運ばれるんですか?」

という質問に



「農園?そんなものは無いよ。」





農園が無いというのはどういう事なのか。




「じゃあ、このコーヒーはどこで採れるの?」





「ほら。皆さんにも見えているでしょう。

 そこの山にある家が。そう。家の庭にある

 コーヒーの木から2000の家族が持ちよって

 イルガチェフェ・コンガのコーヒーになります。」





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良く見れば周りの山には小さな家の屋根が見えます。




もっと良く見れば遠くに山にも。



すごい数の家が点々と存在していました。





「ガーデンコーヒー」



そう呼ばれているコーヒーはおそらく世界にも

珍しいのではないでしょうか。






中国人強盗殺人事件の影響で滞在時間が

大幅に短縮されていましたが、無理を言って

僕たちはそのガーデンコーヒーのある家に

お邪魔して実際にどんな風にあるのか見せてもらいました。




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普通の民家の裏に自生しているコーヒーの木から

完熟したチェリーを摘み取ります。








こんなにも、自然に。


本当に何もしてないの?。




そういう疑問が湧きあがります。



通常、他国もそうですがコーヒー栽培では

土壌作り、苗作り、木の選定、農薬のコントロールなど

さまざまなカテゴリーでノウハウがあり、品質に直結します。



それが世界の常識でした。



なぜならば、現代のコーヒーは人間が品種改良を繰り返し

作り上げたコーヒーだからです。




「実をたくさん付ける、甘味を増す」などの効果が上がっていますが

しかしそれは病気に弱くなったり、害虫に弱くなったりしました。





コーヒー栽培の歴史は人間の歴史でもあり、

病気や害虫との戦いの歴史でもありました。









自然に自生するコーヒーから、

こんなにもたくさん実を付け、

尚且つ素晴らしく美味しいコーヒーになるなんて。







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本当にびっしりと実を付けたコーヒーの木。





完熟したチェリーを一粒取って

口の中へ入れてみました。




甘い!!!!!




なんという甘味!!!




果肉から溢れるような果汁には

チェリーというよりもイチジクや甘柿のような

強い、強い、甘味がありました。




僕が興奮した声を上げたのを合図に

そこらじゅうでコーヒーチェリーを食べ始めた日本人。





そして、それを不思議そうに眺めるエチオピア人。




現地では普通コーヒーチェリーは食べません。


食べられますが、実より種(豆)のほうが価値があって

お金になるから特に食べることはしないのが一般的。





美味しい!美味しい!



日本人に笑顔が溢れると不思議そうに見ていた

エチオピア人も嬉しそうに笑っていました。









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結局、色んな人が集まってきて

みんなでワイワイと賑やかで楽しい時間を過ごせたのです。




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僕たちは家の人に聞きました。


「肥料や剪定はするの?」


「特別な肥料はしないわ。剪定といえば

 高く伸び過ぎると摘みにくくなるから

 伸びたら上を切っちゃうのよ。

 この辺りは昔からバナナも良く育つし

 パパイヤも良く育つの。葉が落ちて

 自然と堆肥になるし、牛やヤギのフンも

 少し撒くくらいかな。」






奇跡のリンゴのことを思い出していました。





リンゴ農家の木村さんは無農薬、自然農法の為に

血のにじむような苦労をして地獄を味わいました。






でもそれは本来、自然そのものの姿に戻しただけで

すべての作物は最初から農薬や科学肥料が必要ではありませんでした。






ここイルガチェフェに育つコーヒーを見ていると

コーヒー本来の姿を見させてもらっているようで

とっても贅沢で掛け替えのない貴重な時間だったと

振りかえると思います。








そしてコーヒーだけでなく

「人間本来の姿」も見れました。





日本人として産まれ育った僕は人間として

彼らより”退化”してしまっていると感じました。



文明や科学の力で便利さや清潔な衛生環境で生活していると

便利で住みやすいですが、一方で、エチオピア人のような

溢れるようなエネルギー感は失われている気がしました。







僕の子供2人を現地に連れていくと

もしかしたら死んでしまうかもしれません。



そう感じるほど日本人は弱っていると感じました。




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そんなイルガチェフェ・コンガ農協ですが

見学だけでは物足りない我々、日本人軍団は

責任者にオーダーロットの交渉を開始しました。







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コンガ農協では先も説明したように

G−1グレードはオーダー制になっていて

G−1のなかでも選別のグレードがあります。




我々は、最も最高の選別方法でトップ・オブ・トップの

G−1をオーダーする事にしました。





そして交渉成立。






一緒に同行した仲間たちは殆どがコーヒー業者やロースターです。





一社ではコンテナ買いは厳しいですがみんなで買えば怖くない!!




共同で買い付けてみんなで分けようという事になり

アースベリーコーヒーも乗っかりました。




2014年の夏。



エチオピア・イルガチェフェ・コンガでの

スペシャルオーダーロット。




プレミアム・イルガチェフェ・コンガG−1を

皆さまにお届けできると思っています。





憧れの地イルガチェフェに訪問し

奇跡のようなコーヒーをこの目で見て、

最高品質の買い付けが出来るなんて

本当に夢のようです。




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僕たちは、イルガチェフェ滞在での熱気の中で

ぼんやりと夢見心地ながらも、再び10時間かけて

首都アジスアベバに戻り、現地のエクスポーターと

会合したりカッピングセッションしたりして過ごし

エチオピアを後にしました。





過酷だったかもしれません。


効率の悪いスケジュールだったかもしれません。


快適とは言い難い環境だったかもしれません。


生産地慣れしている方もエチオピアが一番きついと言います。




でも。




一生、忘れる事のない時間でした。



夢のエチオピア。



本当に素晴らしい国でした。



ありがとうエチオピアよ!





そして、次はルワンダへ。



エチオピアが人間本来の姿ならば、

ルワンダは人間が持つ”闇”の部分を経験した国でした。




20年前に起きた事件「ルワンダ・ジェノサイド」

この事を語らずにルワンダの事は語れません。




人間は時として”鬼”になってしまいます。

それは今も昔も変りなく、普遍的な人間の性質なのかもしれません。




僕自身、大きなショックを受けたルワンダの歴史と一緒に

お伝えします。




僕たちの旅はもう少し続きます。



もう少しだけお付き合い下さい。







つづく








posted by 大地の実 at 15:48| 豆記世界編2013DEC